久々に株の話です。
昨年は調子良いことを書いていましたが、ご多分に漏れず私もリーマン・ショック以降の株価下落でやられてしまいました。
それでも以前と比べたら現在は確かに株価は安くなっていて手を出したくなる状況なので、1年前の私のように株、投信等々参入時期を狙っている方もいるかも知れません。
そんな方にお勧めの本を2冊紹介しておきます。最初の一冊は何かの金融商品に手を出す前に読む本です。
本の構成として、結論の具体的な運用術を最初に説明して、後から理由を説明しています。
運用が仕事でも趣味でもない「普通の人」にとっては、(中略)、「ほぼ効率的で」、「自分が損をしない」、「無難な」方法を一つ知っていれば、実用上は、それで十分ではないだろうか。
(「はじめに」 p.4)
という考えで、誰にでもできる簡単な運用方法を提示しています。
と書くと投資信託を思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れませんが、「投資信託は手数料が高すぎる!」と切って捨てています。
この本は様々な金融商品がどのように (顧客でなく) 金融機関に対し利益をもたらそうとしているかをきちんと説明してくれているので、読んでおけばセールストークを鵜呑みにしなくて済むようになると思います。
また、株に手を出そうと考えている読者向けには日経平均の高安を判断するための基準値の算出方法も紹介されています。
株をやるならば何かしらの基準を自分で持たなければなりません。
勘で行き当たりばったりと売買を繰り返していてはきっとどこかで行き詰るので、このような高安の判定方法を持っておかねばならないのです。
...しかし、今は日経 225 の予想 PER が 70倍超になっているので、紹介されている計算式で計算すると日経株価の標準値は 1500円程度と算出され、それと比較すると現在の株価はやたら割高なことになってしまいます。
今現在この計算式はちょっと使えない状況ですが、PER はこういう異常な状況にあることは認識しておかねばなりません。
PRESIDENT 2.16号 にもこの著者による記事が出ていて、斜め読みした限りでは運用方法のエッセンスは記事にされていたようなので、手近にあればまずそちらを参照するとよいかも知れません。
続いては「超簡単お金の運用術」を読んでも「やっぱり株だ!」という人向けの本です。
本書は、景気敏感株に特化した株式投資 (シクリカル投資法) のノウハウを説明したものです。
(「はじめに」 p.2)
というわけで、どのように市況情報を集めてどのように判断し売買すれば良いかを解説してくれる本です。
何かしらの基準を、というのは先にも書きましたが、景気の循環と景気敏感株の値動きの関係、そして循環の現在位置を把握するために何を基準として用いれば良いかということが丁寧に説明されています。
やっぱりコツコツとデータ収集をしなければならないんだよなあ、と思いつつも私はまだ実践できていません。
それとこの本を読んだおかげで、ここしばらく悩んでいた疑問が一つ解けました。
それは何故「つなぎ売り」を行うのか、その理由です。
現物株を売却してしまったのでは次は二度と買えなくなる、という教訓からです。
(p.209)
同一銘柄で「現物買」+「信用売」をする「つなぎ売り」では信用取引の貸株料がかかるので、単純に現物を売ればよいのでは?、という疑問がずっとあったのですが、一度現物を手放すと上昇トレンドでは最初に買った価格まではなかなか下がらないので買いそびれてしまいがちなので、それを避けるためにつなぎ売りをしよう、ということだそうです。
確かに様々な心理的バイアスがかかって、なかなか合理的に売買できないんですよね。
さて、ここ一週間ぐらい株価は調子良いですが、今は年度末要因で上げているようなので手を出さない方が良いように思えます。
もし株を始めようという方がいるならば、もう一度下値を探ったあたりからが良いと思っているのですが、いつが底かは予測できるものではないので、あたるも八卦、あたらぬも八卦です。