マザーボード上のコネクタを用いた USB ポート増設

家で使っているデスクトップマシンのマザーボードは AOpen AX4SG-UL なのですが、 このボードにはバックパネルに4つの USB ポートがあり、更にマザーボード上に USB ポート2個分のコネクタ×2ヶがあります。 これまではバックパネルの4つのみ使っていたのですが、USB 機器が増えたので使えるポートを増やしたくなりました。

そこでマザーボード上のコネクタを有効利用しようと思い立ち、増設用の USB ポートを買おうと決心したのですが、調べてみるとピン配列に標準がないようで下手をすると間違って互換性のないピン配列のものを買ってしまいそうです。 慎重を期さなければと心に留めつつ、まずは帰宅途中に寄り易いビックカメラで物色したのですが、ちょうど良いものがあったので購入しました。 Groovy の GR-US006 という製品です。

ピン配列

マニュアルを参照するとマザーボードのピン配列は上の図の通りなのですが、これと全く同じ配列のコネクタが2つ使われていて、4つの USB ポートを 3.5 インチベイの中に組み込むことができます。 これを見つけるまでは背面のスロットに挿すものを想定していたのですが、一時的に挿す USB 機器の場合はフロントにポートがある方が使い勝手が良いですね。

ただし、3.5 インチベイの中に4つのポートが並んでいるため、ポートの間隔は必要最低限しかないので注意が必要です。 USB ケーブルを挿すならば問題はありませんが、例えば私の持っている初代 iPod Shuffle を挿すと隣のポートは使えなくなります。 まあ、前後合わせて8つのポートをフルに使うことはないような気がしますが。

価格は \2,310 でした。 チップの載った PCI バス用増設カードが買えてしまう値段なので気分的にしっくりこないのですが、ケーブル類はそれなりに値が張るので、フロントにポートがつくことを考えればこの程度の出費は仕方ないですよね。

bogofilter を正しく使おう – 2007年 6月版

さて、bogofilter 使用環境での spam 登録/ham 登録/判定のためのスクリプトの改訂版です。 このスクリプトは元々 Mew のマーク付けに呼び出して使うために書いています。 何故このスクリプトが必要かというと、nkf では本文が base64 等でエンコードされたメールをきちんとデコードできないからです。 Ruby で書かれた前処理のフィルタ (その1その2) は見つかったのですが、perl のものが見当たらないので自分で書いてみたのです。外部コマンド実行のオーバーヘッド削減を目的として Text::Kakasi や NKF モジュールを用いています。

前回から何が変わったかというと、MIME の階層をきちんと辿るようにしました。前回のものはこれが不十分でした。 また、コンテンツタイプがテキスト以外のものは Content-Type フィールドを表示して、学習に生かせるようにしました。実行時の各種オプションも新設しました。

#!/usr/bin/perl
use Email::MIME;
use NKF;
use Text::Kakasi;
use Getopt::Std;
my $nkfopt  = "-e";
my $bogoopt = "";
my $printmode = 0;
sub mime_body {
my $o = shift;
my @p = $o->subparts;
my $m = "";
if (@p > 0) {
foreach my $so (@p) {
$m = $m . mime_body($so);
}
}
elsif (!defined($o->content_type) || $o->content_type =~ /text/i) {
$m = $m . nkf($nkfopt, $o->body);
}
else {
$m = $m . $o->content_type . "\n";
}
return $m;
}
local $/;
my $k = Text::Kakasi->new;
$k->set("-w");
getopt('snp');
if (defined($opt_s)) { $bogoopt = "-s"; }
if (defined($opt_n)) { $bogoopt = "-n"; }
if (defined($opt_p)) { $printmode = 1;  }
LOOP: foreach $filename (@ARGV)  {
open(I, $filename) || next LOOP;
my $message = <I>;
my $parsed = Email::MIME->new($message);
$message = nkf($nkfopt, $parsed->header_obj->as_string . "\n") . mime_body($parsed);
my $tokenized = $k->get($message);
if ($printmode) {
print $tokenized;
}
else {
open(O, "| bogofilter $bogoopt") || die("can't execute bogofilter");
print O $tokenized;
close(O) && print "$filename\n";
}
close(I);
}

このスクリプトを bogo として、使い方を簡単に説明します。 そのフォルダのメールをスパムとしてデータベースに登録するには次のように呼び出します。

bogo -s -- *

そのフォルダのメールをハムとしてデータベースに登録するには次のように呼び出します。

bogo -n -- *

"-p" オプションは bogofilter に喰わせる前のメールデータを標準出力に出力します。 kakai による分かち書きの結果も確認できます。

bogo -p -- *

引数でオプションをつけずファイル名のみ渡すと、指定したファイルのうち spam と判定されたメールのファイル名のみ標準出力に出力します。 これを Mew のマークに使います。

bogo *

利用している perl のメール関連パッケージは以下の通りです。この順で "perl Makefile.PL; make; make install" を実行しインストールしました。

  • MIME-Types-1.20
  • MIME-Base64-3.07
  • Email-MIME-ContentType-1.014
  • Email-MIME-Encoding-1.311
  • Email-Simple-1.999
  • Email-MIME-1.859

この他に Text::Kakasi と NKF を用いています。

メール関連のこの辺りのモジュールは使いやすいと思います。 日本語のサイトで取り上げている例は少ないようですが、このコードが処理の参考になればと思います。

Cygwin 上で bogofilter を再インストール

ハードディスク換装に伴い Cygwin もインストールし直しとなり、bogofilter を最新のソース再コンパイルしました。 前回紹介した時とバージョンやら configure のオプションやらが若干異なるので記録しておきます。導入したバージョンは bogofilter-1.1.5 です。

まず、Cygwin でデフォルトではインストールされない以下のパッケージをインストールしておきます。

db4.3
libdb4.3
libdb4.3-devel
gsl
gcc
make

私の場合、ソースをコンパイルする前にリンクをいくつか張る必要がありました。

cd /bin
ln -s /bin/bash sh
cd /lib
ln -s libdb-4.3.a libdb.a
ln -s libdb-4.3.dll.a libdb.dll.a
ln -s libdb-4.3.la libdb.la
ln -s libdb_cxx-4.3.a libdb_cxx.a
ln -s libdb_cxx-4.3.dll.a libdb_cxx.dll.a
ln -s libdb_cxx-4.3.la libdb_cxx.la

さて次はコンパイル、インストールですが、configure で db パッケージのヘッダファイルを明示的に指定する必要があります。

./configure CPPFLAGS=-I/usr/include/db4.3
make
make install

これで無事 bogofilter がインストールされます。最近は /usr/local/etc/bogofilter.cf に次のように書いて判定時のしきい値を調整しています。

spam_cutoff = 0.80

bogofilter を呼び出すスクリプトもいろいろ手を入れていますが、これは次の記事に書きます。

沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟

「日本は米国の属国」というフレーズはよく聞きますが、 漠然と日本はアピールの仕方が下手なだけだと思い、深刻に考えてはいませんでした。 また、「安保」と聞くと条約よりも「安保闘争」のイメージが強く、 この闘争を知らない世代の私にとっては「安保」という単語はイデオロギー色が強く自分とは縁のない事柄との認識でしたし、 沖縄も「内地」に住む私にとっては観光地のイメージが強いです。 しかしこの本を読むと確かに日本はアメリカの属国でいいようにされていることがわかります。 そして、いま行われている米軍再編が日本の負担を減らすものでは全くないことも。

沖縄返還交渉の最初で「核抜き」にこだわったためにつまづいた流れが、そのまま今現在まで続いていて私たちにとっても他人事ではないです。 例えそれが小さなつまづきであったとしてもそのまま事態が進んでしまうと、後になればなるほどその失敗を取り返すことは困難になりますが、この本を読む限りでは日本は戦略的に交渉を遂行する能力が全く無く、アメリカのいいように流されているだけのように思えます。 この流れを止めるためにも多くの人が本書を手に取ることを願い、日本における権力が民衆の特性を熟知していることがことを指摘した次の文を引用しておきます。

統治する側にとって、これほど好都合なことはなく、彼らは、民衆の弱点、すなわち瞬間的には反応するが、一過性ですぐに終わってしまうという性向を知りつくしている。

また、この本を読む上で「西山太吉事件」のあらすじも知っておくべきでしょう。

「クロールに関する情報」、「ページ分析」が表示されない件

Google のウェブマスターツールでサイトマップをきちんと登録したものの、 「統計」の「クロールに関する情報」と「ページ分析」がこれまでずっと「現在、データを表示できません」の表示のままでした。 それがある日気がつくと表示されるようになっていました。 恐らく sitemaps.xml ファイルを登録して半年ぐらいは経過していたと思います。 きっかけは特に思い当たることはなく (先の記事に記した DOCTYPE 宣言の変更をする以前から表示されていたように思います) 単に時間がかかっただけのように思います。 Web 検索すると他にもこの2つが表示されない例は見つかるのでそういうものなのでしょう。

この他にも Google のウェブマスターツールは微妙なところが多いです。 私の場合、「診断」の「クロール率」は1ヶ月前ぐらい迄しかグラフ表示されず最近の情報は表示されませんし、 「統計」の「クエリに関する情報 」は「過去 7 日間のデータの平均」といいつつ2、3週間同じ内容が表示され続けたりします。実際に過去 7 日間の平均であればそのようなことはないはずなのですが…

まあ場末のサイトではそのようなことになってしまうのかも知れません。 そのような時はサイトマップ登録のためのツールと割り切るしかないように思います。

Google で「日本語のページを検索」すると結果表示が少ない問題について

最近、この blog のアクセス数が目に見えて増えてきました。 嬉しいことではあるのですが、どこかで紹介された様子はないし、 一体何が起こったのだろうといぶかしんでいたのですが、 どうやら Google の「日本語のページを検索」したときに引っかかるページが増えてきたのが原因のようです。

以前、 "site:" オプションを指定してこのサイトに対し「ウェブ全体から検索」したときは3桁のページが引っかかるのに「日本語のページを検索」すると1桁しか結果表示されないのに気づいたことがありました。 全記事は日本語で書いています。 恐らくここに blog を移してからずっとそういう状態が続いていたのでしょう。 この問題を解決しようと調べてはみたものの、 Web 上に「これだ!」と特定できるようなような情報はなかったので問題を放置したままの状況でした。

ところが最近になって調べてみると「日本語のページを検索」でも同程度の数の検索結果が表示されるようになりつつあります。 この間何をしたかというと思いつくのは Google AdSense を導入し、それに伴い DOCTYPE 宣言を HTML から XHTML に変えたことぐらいです。(今は XHTML に変えたものの古いアトリビュートを使っているのを全て直せていないというあまり誉められない状態なのですが… はい、少しずつ直していくつもりです。)

関係しそうなところでは HTML の時は、

<html lang="ja">
<head>
<meta http-equiv="content-type" content="text/html; charset=euc-jp">
</pre>

と指定していました。XHTML にした後はこれを、

<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xml:lang="ja">
<head>
<meta http-equiv="content-type" content="text/html; charset=euc-jp" />

としています。

こちらの調査 を見るとかなりの割合の人が「日本語のページを検索」で検索しているようです。 どうりでアクセス数が増えるわけです。 FC2 ブログには同様の症状の blog が少なからず存在するように見受けられますが、誰か同じことをして「日本語のページを検索」の結果が増えるか試してみませんか?

MYUTA 訴訟の判決文を読んでみよう

全然勉強の進んでいない著作権法ですが、話題となった判決があるのでこれの判決文を眺めてみました。 MYUTA 訴訟 (平成18年(ワ)第10166号) の判決です(判決文別紙)。 裁判官が一太郎の判決で有名な裁判官ということはありますが、先入観を捨てて判決文を読むとネット上のもろもろの記事は、判決文が出る前に書かれたものが多いこともあって的をはずしているものが多いように感じられます。 もちろん (主に専門家による) 的を射た記事もあるのですが、判決文を読むことでそのような記事の理解も更に深まります。 そこでこの判決の内容を簡単に整理してみたいと思います。

ことの経緯は、イメージシティがユーザ手持ち楽曲をサーバ経由で携帯電話に転送できる MYUTA の試用サービスを提供していたところ、JASRAC より著作権法違反の指摘があったため、試行サービスを止めた上で著作権侵害に当たらないことを確認するために訴訟を起こした、というものです。イメージシティはサービスの有償化を予定していました。

さて、裁判所の判決の概要です。

  • インターネットを経由してアップロードされた 3G2 ファイルをサーバのファイルシステムに複製する行為 (=先の「別紙」の説明図中④の過程における複製行為、以下「④」とは説明図中の④を指す) の主体は原告(=サービス提供者)であり、原告はサービス提供により管理著作物の複製権を侵害するおそれがある
  • 送信行為の主体も原告である。ユーザは原告にとって「公衆」であり携帯電話への 3G2 ファイルダウンロードは自動公衆送信行為に該当し、管理著作物の自動公衆送信権を侵害するおそれがある

つまりこのサービスは複製権と自動公衆送信権の侵害にあたるという判断ですが、この2つについて個々に見ていきます。 まず複製権の話について見てみます。 ④の複製の主体を MYUTA のユーザでなく原告だと認定しているのですから、私的複製云々は関係ありません。 判決文中に④の複製の主体が原告だという判断の元になった6つの事実が示されています。

  1. 原告の提供しようとする本件サービスは,パソコンと携帯電話のインターネット接続環境を有するユーザを対象として,CD等の楽曲を自己の携帯電話で聴くことができるようにするものであり,本件サービスの説明図④の過程において,複製行為が不可避的であって,本件サーバに3G2ファイルを蔵置する複製行為は,本件サービスにおいて極めて重要なプロセスと位置付けられること
  2. 本件サービスにおいて,3G2ファイルの蔵置及び携帯電話への送信等中心的役割を果たす本件サーバは,原告がこれを所有し,その支配下に設置して管理してきたこと
  3. 原告は,本件サービスを利用するに必要不可欠な本件ユーザソフトを作成して提供し,本件ユーザソフトは,本件サーバとインターネット回線を介して連動している状態において,本件サーバの認証を受けなければ作動しないようになっていること
  4. 本件サーバにおける3G2ファイルの複製は,上記のような本件ユーザソフトがユーザのパソコン内で起動され,本件サーバ内の本件ストレージソフトとインターネット回線を介して連動した状態で機能するように,原告によってシステム設計されたものであること
  5. ユーザが個人レベルでCD等の楽曲の音源データを携帯電話で利用することは,技術的に相当程度困難であり,本件サービスにおける本件サーバのストレージのような携帯電話にダウンロードが可能な形のサイトに音源データを蔵置する複製行為により,初めて可能になること
  6. ユーザは,本件サーバにどの楽曲を複製するか等の操作の端緒となる関与を行うものではあるが,本件サーバにおける音源データの蔵置に不可欠な本件ユーザソフトの仕様や,ストレージでの保存に必要な条件は,原告によって予めシステム設計で決定され,その複製行為は,専ら,原告の管理下にある本件サーバにおいて行われるものであること

いわゆる普通のオンラインストレージサービスと異なるのは、クライアント側に専用ソフトウェアをインストールすること (3、4) と、個人が携帯電話に曲を転送するのは簡単でない (5) というところだと思います。 ですのでこの判決だけで全てのオンラインストレージサービスが違法になったというのは言い過ぎですが、 ここで問題となっている複製行為はファイルをアップロードする際にサーバのファイルシステムに書き込むことを指しているわけで、クライアント PC で行われる 3G2 への変換処理を指しているわけではない点に注意が必要です。判決ではクライアント PC での処理については言及していません。つまり適法とも違法とも判断していません。 携帯電話への楽曲転送が難しいのであれば、HTML の文法チェックも難しいと判断される可能性があるだろう、との見解もあります。

次に自動公衆送信権について見てみます。 まず、送信行為の主体ですが、④の複製行為同様、判決では携帯電話へのファイル送信行為も主体はサービス提供者としています。判断の元となった事実はユーザソフトに関するくだりを除いて複製のところで掲げたのと同様のものが並んでいます。

続いてユーザが「公衆」にあたるかですが、 問題は送信する行為を音楽ファイル個別に見るのか、サービス全体で見るのかという点です。 判決では以下の通りサービス全体で判断して、例え認証により音楽ファイルをユーザに紐付けたとしても、 サービス提供者にとってユーザは「公衆」にあたると判断しています。

なお,本件サーバに蔵置した音源データのファイルには当該ユーザしかアクセスできないとしても,それ自体,メールアドレス,パスワード等や,アクセスキー,サブスクライバーID(加入者ID)による識別の結果,ユーザのパソコン,本件サーバのストレージ領域,ユーザの携帯電話が紐付けされ, 他の機器からの接続が許可されないように原告が作成した本件サービスのシステム設計の結果であって,送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない。

形式的には送信行為の主体をサービス提供者とするとユーザは「公衆」に当たるようにも思えますが、 専門家の批判には公衆送信はファイルごとの観念ではないかという指摘があります。 判決では「受信者は不特定」としていますが、これは誰でも所定の手続きを踏めば MYUTA を利用できるということを指しています。 蛇足ですが、著作権法上は「特定かつ多数の者」も「公衆」となりますので、 サービス全体で論じてしまうと、ユーザは「多数の者」であることは間違いないので不特定かどうかはあまり意味がなくなります。

著作権法の趣旨云々についてコメントはしません/できませんが、 判決の内容を理解せず的をはずした批判で不当な判決と断じている記事が多く、 あまつさえ裁判官個人へのバッシングにつながっている状況はまずいと考えます。 裁判官は法令に従って判断を下すだけで、法令を変える権限を持っているわけではないことに注意が必要です。 本エントリが多くの人の判決の理解につながればと思います。

今年の胡蝶蘭

今年の胡蝶蘭は7鉢中2鉢しか咲かせることができなかったのですが、その2鉢は立派に咲きましたので写真を載せておきます。 しかも1鉢は枝分かれまでしています。 …それなのに、水やりをサボって蕾をいくつか落としてしまいました。相変わらずヘタレだ…

胡蝶蘭

花芽を出すことができなかった鉢については室内にしまうのが早く十分に低温に当てることができなかったためだと思います。 暖冬でしたので… (いいわけモード)

ブログのレイアウトをちょっといじってみました。 他の記事も目に付きやすくなるようにしましたが、問題は興味を引く記事があるかどうかですね。

弁理士試験勉強これまでとこれから

弁理士試験1年のまとめシリーズの最終回です。 今回は初学者へのヒント (になるのか?) と自分の今後の予定です。

試験に合格するためにまずは条文の構造がわかってこないと話にならないですが、これが大変です。 多くの条文は他の条文を参照したり準用したりしていますが、後ろの条文が前の条文を参照するだけでなく、 前が後ろを参照したり、他の法令の条文を参照したりで、最初はスパゲッティのようにぐちゃぐちゃに思えます。 それでも理解が進んでくると何故その条文がその位置にあるのかや他の条文との関係も少しずつわかってくるようになります。 条文の番号 (=条名) もだんだん覚えていきます。 最初の1回では無理でしょうから、あきらめず何度も繰り返し読み返すしかないでしょう。

また、準用の部分はどうしても読み飛ばしたくなってしまうのですが、 読み替え含め丁寧に読まないとなかなか理解が深まりません。 早い段階からきちんと読むクセをつけておいた方が良いでしょう。

次は国語の問題なのですが、 微妙な言葉の差も最初から意識して読み取れるようにしておくと良いと思います。 以下は例に過ぎませんが、見落としてしまいそうなこの程度の差でも意味が大きく変わることを最初から知っておくべきです。

  • 「出願の日前」 : 「出願前」
  • 「必要な図面」 : 「図面」
  • 「その商品」 : 「商品」
  • 「ことができる」 : 「しなければならない」 : 「みなされる」

私の場合ですが、特許法から勉強を始めて最初のうちは特許法の趣旨やら出願手続きやらで頭に入って来やすかったですが、 審判あたりから「何じゃこりゃ?」となってしまい、審判、再審、訴訟の手続きがごっちゃになってしまいました。 まずは出願からの大きな流れをこれらも含めてきちんと理解することが必要ですね。

さて、自分の今後ですが答案提出期限があるので、6月一杯は LEC の論文基礎答錬を行い論文試験のための勉強をする予定です。 その後については、まずは来年の短答突破を目標としてやっていこうと思います。 今回の短答試験の特実意商では「問題文の意味はわかるし、何がポイントかもわかるけど、実際の条文ってどうだったっけ?」 というような問題がそれなりの数あったので、これを減らさなければなりません。 後は未習として残ってしまったところを淡々と進めることですね。もちろん論文対策もしますが、どこまで仕上げられるかは現段階で何とも言えません。 弁理士試験ネタの blog エントリもぽつぽつと増えていくのではないかと思っています。

弁理士試験勉強の教材について

実力がないと言ってはそれまでなのですが、短答試験の見直しをしていると何故この枝を選んでしまったのだろう、 と後悔してしまう問題がいくつもあります。更にそんな問題の正答率が8割超だったりすると悲しくなります。 頑張らねば。

さて、弁理士試験1年のまとめシリーズ3回目である今回は自分の用いた教材について簡単にコメントしてみたいと思います。 ただし、私は勉強を始めてやっと1年経ったばかりでまだ短答試験すら合格しておらず論文試験以降の対策は手付かずということをご理解の上お読みください。

工業所有権法逐条解説 (通称「青本」)
特許庁の担当者が各条文ごとに解説をしたものです。結局1年目はこの「青本」を読み込むことはできなかったのですが、必要に応じて何度か参照しました。 必須の基本書とされています。

改正本 (平成14年~18年)
青本で足りればよいのですが、悲しいことに青本は平成13年に第16版が出されてから改訂されていないのです。 そこで改正があるたび (=1年毎!) に出される「改正本」を読んで改正された部分を理解しなければならないのです。 そろそろ出し直してもよい頃だろうに… なお、改正本の内容は特許庁ホームページより PDF でダウンロードできますが、私は紙媒体で手許に置きたかったので印刷の手間を考え書籍を購入しました。

知的財産権法文集
当然ながら条文集も必須です。私は PATECH 企画より出されているものを使いました。 手ごろな大きさで、関連条約はもちろん民法や民訴法なども関連する条文が抄録されているので基本的にこれがあれば足ります。 平成18年度版 (このときまでは「工業所有権法文集」という名前) と平成19年度版の2冊を購入することになりました。

産業財産権四法対照法文集
特許法、実用新案法、意匠法、商標法の四法を比較できるよう並べて書いた法文集です。 昨年はさっぱり使いませんでしたが、短答の勉強に入り「そう言えばこんなのも買ったっけ」と思って開いたところとても役に立ちました。 平成18年度版 (このときまでは「工業所有権四法対照法文集」) のみ購入しましたが、このような使い方ならば 19年度版の方を買うべきだったと悔やんでおります。これ一つで条文集を済ませるのでなく、あくまで四法の比較用という使い方が良いと思います。

弁理士試験 BASIC
LEC より出ている入門用の参考書です。受講した講座の申し込み時のキャンペーンで1、2、3巻をもらいました。 ただし、私は入門講座のテキストの方を中心に学習したので、BASIC はあまり活用しませんでした。 独学する場合の入門用には良いと思います。

短答アドヴァンステキスト
LEC より出ている短答試験対策の参考書です。 短答基礎力完成講座のテキストにも使われているのですが、短答試験対策にはこれが一番役に立ちました。 条文ごと過去問や練習問題がならび、昨年の短答問題もきちんと収録されています。 これをもう少し時間をかけて勉強していれば、という思いがあります。

特許判例百選
特許関連の重要な判例集です。 最初は読んでも眠くなるだけでしたが、学習が進むと少しずつ面白さがわかるようになってきました。 参考書に出てくるような判例はまずこれに載っているので、出てきたものから読んでいくのが良いと思います。 これもそろそろ改訂版を出して欲しいですね。

法令用語の常識
「A ないし C」が「A or C」でなく「from A to C (= A, B, C)」の意味ということを知り、 これは法令用語を覚えなければと買ったのがこの本です。 法令で用いられる様々な言葉の解説がありその法令の理解が深まります。 しかし弁理士試験でこの本の内容全てが必要かというとそうでもない気がします。 条文の繊細さを理解するためには良い本だと思います。 ちなみに「ないし」はこの本には出ておらず、国語辞典に載っているレベルの話でしたね…

法律学小事典
法律の初心者だと「罪刑法定主義」って何?「譲渡担保」って? ということになってしまうのですが、 そのような時に引くのがこの事典です。 同種の事典はいくつかあると思いますが、今のところこれで不満はありません。

弁理士受験新報
弁理士試験用にも雑誌が出ているのですね。 短答前の4月分 (No. 28) と5月分 (No. 29) のみ買いましたが、連載ものが多いのでできれば続けて買った方が良いのでしょうね。 今の私だと積読になってしまいそうです…

弁理士短答式問題と解説 平成18年度
弁理士短答式年度別問題集 平成12~17年度
安価なので購入しましたが、解説がビミョーなところがチラホラ。更に解説だけにとどまらず問題にも脱字があるし。 (「被請求人」が「請求人」になってはまずいでしょう…) 残念ながら正誤表見当たらず。安価だから仕方なし、か? 先の「短答アドヴァンステキスト」があったから良かったのですが、これだけだとまずかったと思います。


2008. 8. 6 追記
2008.6 に青本の改訂版が出ています。その他にも重要な本が出ているので記事にまとめました。


2010.10.14 追記
最近出版されたものを追記です。 他に重要なものがあればコメントで教えていただければと思います。