「めざせ TOEIC 860」シリーズ 3回目、完結編です。
記事の対象読者を 1回目のエントリで確認してからご覧ください。
今回のメインテーマは「ポッドキャストを聴く以外に何をするか」です。
ただし、あくまでもポッドキャストを継続して聴くことが第一で、文法や単語は時間に余裕がある時だけ取り組めば良いと考えています。
文法や単語の力が不足していたら英語を聴いても意味がないと考えるのは大きな間違いだと最初に強調しておきます。
文法の勉強は?
はっきり言って TOEIC に難しい構文解析が必要な問題は出て来ません。
高校までの英語授業で十分です。
とは言っても英文法を学んだのが遠い昔になっている人もいるでしょうから、知識の再確認のための参考書として以下の2つをお勧めします。
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「English Grammar in Use With Answers (Book & CD-ROM)」
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この本は英語で書かれた文法参考書です。
やはり英文法は英語で学ぶのが一番良いと思うのです。
国産文法書にありがちなパズルのような構文解析の話はなくて、時制等の文法的な違いによるニュアンスの違いを中心に説明しています。
例えば過去完了進行形のように「文の構造はわかるけどそれって実際どういうこと?」と言いたくなるようなものもきちんと過去進行形や過去完了とのニュアンスの違いを説明してくれます。
読んでいて「ああ、そういうことか」と思うことが多かったのは単に自分が学生時代にやったことを忘れているからだけではないと思っています。
今回の趣旨からちょっと外れますが、日本語の難解な文法授業についていけなかった人にも良いかも知れません。
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「日本人の英語」
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英語ネイティブの作者が日本人の理解しにくい部分の説明を日本語で書いた本です。
特に冠詞についての説明が素晴らしいです。
こういう説明ができるのはやはり作者が英語ネイティブだからなのでしょう。
貴重な本だと思います。
この日本語を読むと自分も英語を勉強せねばと思います。
時間がない人には日本語で書かれた文法書はお勧めしません。
私は評判が良かったので、「英語リーディング教本」を購入しましたが、もう今更 SVC だ、 SVO だ、なんてやりたくなかったので数ページで止めてしまいました。
繰り返しますが、TOEIC では文法的に難解な文章は出て来ないので、高校までに学んだ文法力で十分です。
そこまで到達していないと思ったら英語で書かれた文法書を使って復習しましょう。
単語の勉強は?
私は単語学習用参考書のようなものをほとんど使いませんでした。
そのようなものを全否定するつもりはありませんが、以下の事実を覚えておくべきです。
- ほとんどの場合、一つの単語に複数の意味がある。
- 日本語と英語の単語の意味は1対1に対応するとは限らない。
これらを考えると、文脈を無視し単語だけ取り出して覚えるような学習方法は効果が薄いと考えています。
そのようなやり方より、耳に入ってきた文脈を通じて単語を理解していく方が回り道に見えてもずっと効果的に思えます。
単語帳等については、それで覚えるよりもこれまで聴いた単語を思い返して定着させる、という使い方をお勧めします。
身近な分野の情報を英語で
本シリーズは英語学習に多くの時間を割けない人を想定しています。
本業が忙しければ、英文法や単語にしっかり取り組むだけの時間を確保することは厳しいでしょう。
そのような状況であれば負担の少ない方法で英語に接する時間を増やしましょう。
具体的には、自分の趣味、例えば音楽や映画などの情報を英語で得る、あるいは仕事でできるだけ訳本でなく原書、原文を読むというように、日々の生活の中で英語に接する時間を増やすのです。
英語記事をちょっと訳して紹介しただけのブログにブックマークするのではなく、原サイトにブックマークするというのもすぐに出来ることです。
そこに出てくる単語は TOEIC 試験で見かけることはないかも知れませんが、選り好みして限定された英語を用いて短期間で効果を上げようとするのではなく、継続的に様々な英語に接して力をつけていこうというのが今回の趣旨です。
私の例でいくと音楽関連のポッドキャスト (現在は配信終了の様子) を聴いたり、使用ソフトウェアの英語チュートリアル動画を見たりしています。
また、次の項に示すように日本のニュースを英語で読むこともよくします。
Reading Section 対策
Reading Section 対策としては読む速さも必要です。
リスニング対策と同じになってしまいますが、自分の興味ある分野で日々更新されるサイトの情報を RSS リーダ等で読むと良いと思います。
特に思いつかなければ身近な日本のことを書いてある海外サイトが良いでしょう。
これのよいところは海外での日本の受けとめられ方が多少はわかることです。
最近の原発関連情報でこれらを実感している方もいるかも知れません。
国内から英語で発信している NHK の情報を読むのも一つの手です。
ポッドキャスト購読の対象としても使えます。
The Japan Times は老舗英字新聞ですね。
英語のコミュニケーション
本シリーズでは TOEIC テスト対策に限り、Speaking や Writing については扱いませんでしたが、TOEIC 860 ぐらい取れれば、後は自分で考えてそれらの力をつけていけると思います。
1回目に書いたことの繰り返しになりますが、実践では語学に 100点満点は要りません。
実践の場では、重要なことだと思えばわかるまで聞き返せばよいし、そうでなければ気にせず聞き流せばよいだけです。
それは日本語でもやっていることなのですが、何故か英語だと満点を取らなければコミュニケーションしてはならないような風潮になっているのが不幸の元だと思います。
アジア各国の英語を聞いてみれば一番大事なのは発音や文法でなく伝えようとする意志だということがわかります。
普通のインド人の英語なんてちょっと聞いただけでは英語と認識できませんが、それでも彼らはその英語で仕事をこなしています。
企業に入れば彼らと協調したり争ったりしなければなりませんが、大切なのは何を受け取り何を考え何を伝えるかであって、完璧な発音や文法で話すことではありません。
ヨーロッパの人だって英語は訛っていたりします。
完璧でなければしゃべっちゃまずいと考えるのはきっと日本人ぐらいでしょう。
ベルリッツのような英語コンプレックスを煽る CM を見ていれば、正しい英語でなければやっていけないと錯覚してしまうのも無理ありません。
しかし、日本に詳しい外国人はみんな、日本人が英語を苦手としていることを知っており、良くも悪くもそれなりの対応をしてくれます。
もちろん細かなニュアンスの違い含めてやりとりできるに越したことはないですし、それが必要な場面もありますが、「独学では難しい」、「正しい英語でなければダメ」というのは、レッスンや学習書を売っている立場の人が言っていることが多いので気をつけねばなりません。
ひょっとしたら英語学習法を書くブロガーですら 860 を特別な訓練がないと辿り着けないスコアにしたがっているかも知れません。
昔、英会話研修で教師に繰り返し言われて、今でも気を付けていることを紹介しておきます。
多くの日本人に当てはまる言葉だと思います。
Don't be shy.
将来を見据えて
残念ながら日本はよくて現状維持という時代に入っており、企業だけでなく個人でさえ海外に目を向け活躍の場を広げなければやっていくことが厳しくなっています。
それは若い世代の方々の方がより深刻に感じていることだと思います。
「英語は一つの武器」という時代から「使えないとまともな職がない」という時代に変わってしまうのかも知れません。
だからと言って悲観しても仕方ありません。
英語なんてたかが言葉なのです。
少しずつでも継続すれば力はつきます。
TOEIC スコア 860 と聞くと「自分には無理」と感じる人が多いかも知れませんが、実際はこれまで書いた通りのレベルなので、そのうち日本でも有名どころの企業では取ってようやく一人前という状況になるかも知れません。
それは通勤/通学時のポッドキャスト+αで十分到達可能な範囲なのです。
確かに世の中にはこれより効率の良い TOEIC スコアアップ法はごまんとあるでしょうが、その方法に必要な時間が取れなければ何の足しにもなりません。
何度も書きますが継続することが第一なのです。
今回の「めざせ TOEIC 860」シリーズが誰かのきっかけとなることを願っています。