チュートリアルビデオを見よう
Cubase 6 を買ったらまずはパッケージ付属の「Quick-Start Video Tutorials」というディスクをコンピュータに入れてチュートリアルビデオを見るべきです。 見ていない人もどうやらそれなりの数いるようですが、2時間程度でレコーディング&ミックスの基本から新機能まで一通りが説明され、入門用としてはもちろん経験者にも得るものはあると思います。 少なくともネットで情報を漁るよりよっぽど効率よく基本知識を得ることができます。 付属品に日本語ビデオはないだろうと無意識のうちに思い込んでしまっているのかも知れませんが、付属プログラムで視聴する限りはきちんと字幕がつきます。 .mov ファイルを直接見ると字幕はつきませんが、ゆっくりな英語なのでこれを持ち歩くという手もあると思います。
というわけで、今回はこのチュートリアルビデオの内容を紹介します。 私自身もこれ全部は一気に消化できないので、必要になったときにもう一度見るための覚書にしたのです。 これを読んで興味を覚えたところだけ見ても良いですが、時間が取れれば一通り見ておくのがお勧めです。
また、「Cubase 6 を買って」シリーズ第2弾として、付属のデモプロジェクトについても書いたので参考にしてみてください。 (2012.1.9 追記)
ビデオの内容
チャプター 1 ~ 5 が Basic パート、チャプター 6 ~ 12 が Advanced パートとなっています。
1. はじめに (Getting Started)
インストールや画面の紹介があります。 ここら辺は余裕と思いきや、「タイムライン上で左クリックし、上下にドラッグでズームイン/アウト」なんて知りませんでした。
2. 接続 (Getting Connected)
主に「デバイス設定」画面の説明です。 ASIO/VST/レイテンシーの説明があるのですが、レイテンシーについては 5ms を超えると認識できる (noticeable) と言ってました。 言い方を換えれば、リアルタイムレコーディングを使いこなす人はできるだけレイテンシーが 5ms 程度に収まるような環境をつくっておくべき、ということですね。 バスや「VST コネクション」の設定の説明もあります。
3. オーディオ録音の基礎 (Basic Audio Routing)
オーディオ録音の基本です。 オーディオを複数トラック分録音して不要部分を「ハサミ」で切って消すところまで。
4. 基本的な MIDI ルーティング (Basic MIDI Routing)
MIDI の概要説明説明から始まって MIDI トラック/インストゥルメントトラックの扱いについて説明があります。 最初は使い方がわかりにくい「Beat Designer」の使い方も説明されています。
5. ミキシングの基礎 (Basic Mixing)
グループトラック、センドエフェクト、インサートエフェクト、EQ、ファイルへのミックスダウンについて説明されています。 その中で EQ の使い方が丁寧に説明されていました。 以下のルールが紹介されていました。
- ブーストするのではなく不要部分をカットする
- 特殊な効果を狙うとき以外は 6db 以上のゲインは避ける。もし EQ を多くかけなければならないようなときは、マイクの種類や位置を変えてとりなおすべき。
6. オーディオ録音とプロセッシング (Advanced Audio) Part 1
オーディオ録音関連ということで以下のような内容が紹介されています。
- トラックプリセットの選択 (メディアベイ)
- VST Amp Rack
- パンチイン録音
- サイクル録音とコンピング (複数のテイクから完成トラックをつくる)
- VariAudio 概要
7. オーディオ録音とプロセッシング (Advanced Audio) Part 2
引き続きオーディオ関連で以下のような内容が紹介されています。
- VariAudio でボーカルハーモニー作成
- ドラム用トラックをノートごとに分割して個別に音作りする方法 (Groove Agent One × 10インスタンス以上使用!)
- Media Bay の使い方
- オーディオループの扱い (ドラムループを使ってリズムトラックを作る。テンポに合わせる。ベーストラックのピッチシフト)
8. アドバンスドプロダクション (Advanced Production) Part 1
以下のような項目が紹介されています。
- ノートエクスプレッション
- HALion Sonic SE
- グループ編集 (複数のトラックをまとめて編集) とその他の細かな改善点
- 向上したヒットポイント検出 (ヒットポイントはオーディオデータにつける、タイミングを示す目印)
- ドラムオーディオデータから MIDI ノートを作成してサンプル音に差し替え
- オーディオクオンタイズ
9. アドバンスドプロダクション (Advanced Production) Part 2
まず、録音されたオーディオデータにテンポを合わせる方法が紹介されています。 混同されやすい以下の語句を説明していました。
- クオンタイズ
- イベントを動かす
- オーディオワープ
- グリッドに合うようオーディオイベントを伸縮する
- タイムワープ
- オーディオイベントに合うようグリッド (テンポトラック) が調整される
その他にも以下のような項目が紹介されています。
- MIDI エフェクト
- Beat Designer がさらに説明されています
- アレンジャートラック
- サイドチェイン
-
ポンピングダンスベース (バスドラのサイドチェインでベースにコンプをかける方法)
コンプレッサーのパラメータ - スコアエディタ
- ボーカルオーディオデータから歌詞入りのボーカルパート譜をつくる方法 (オーディオデータ -> MIDI データ -> スコア)
ちなみに、ポンピングに似て、アナウンスが入るときに BGM を自動的に絞ることをダッキングというのだそうですが、ポンピングもダッキングも言葉を知りませんでした…。
10. ドラム、ミックス、ディザリング (Drums, Mixing and Dither)
マルチマイクで録音されたオーディオドラムトラックで「カブり」を補正するオーディオ処理が紹介されています。 また、オーディオデータにヒットポイントを設定してスライスし、クオンタイズ実行する処理もあります。
続いてミックスダウンの基本操作が説明されます。 EQ の説明が中心で「100Hz 以下はノイズしかないよ」というのが印象に残るぐらいでした。
最後にマスタリングです。 以下の2つが鉄則とのことです。
- クリップさせない
- ディザリングをかける
11. ワークフローの効率化 (Workflow)
以下のような内容が紹介されていました。
- Control Room の設定方法 (スタジオ卓についているようなエンジニア&プレーヤー間コミュニケーションマイク&モニターセットアップ機能)
- 5.1 サラウンド
- Cubase を使ったライブレコーディング、ライブパフォーマンス
- LoopMash の使い方 (スライスを Groove Agent ONE のパッドにドラッグ&ドロップで割り当てることができます)
12. 外部コントロール機器の使用 (Remotes)
以下のような内容が紹介されていました。
- オートメーションとクイックコントロール
- デバイスパネル
- リモートコントロール (MIDI コントローラー) のセットアップ
- Cubase CC121 の紹介
まとめ
いかがでしょう? これらを一通り理解できれば初心者は脱出できるぐらいの内容が含まれていると思います。 初心者の方は今売っているサンレコ7月号 に「DAW で音楽を作るための基礎用語 88」という特集が組まれているので合わせて読んでおくとよいでしょう。
あと、ビデオを見ているとよく「○○ is a Cubase 6 exclusive feature」と表示され、Artist や Elements で使えない機能はそれなりにあることが実感できます。 機能比較表を見て悩むのも良いですが、使いこなしていくつもりがあるならばやはり最上位の Cubase 6 を購入するのがお勧めです。 使い込む人にとっては値段差以上に機能の差があるはずです。
まだ「そこまでは…」という人はまずはハードウェアを買うと付いてくる Cubase AI/LE で様子を見れば良いのではないでしょうか。 また、追加プラグインを買うのは Cubase 6 付属のものを使いこなせるようになってからで良いでしょう。
はじめまして、キューベースを去年から使い始めたものです。
とても解りやすい説明で、まだキューベースに慣れてなかったころを思い出したのと同時に初心に還ることが出来ました。
書き主さんの言うとおり、ご自分でミックス作業をされたり、サイドチェインなどの機能を使うに当たって個々のソフトでの違いがありますし、慣れている方でも新たな発見が出来ると思います。
またこれからはじめようという方もキューベースにはとても解りやすい解説DVDが、ついているので興味がある方にとても良い記事だと思います。
普段こうして書き込みはしないのですが、行き詰まっていたところとても参考になったので書かせて頂きました。
どうも、ありがとうございます。
cubase user さん、コメントありがとうございます。コメントいただけるととても励みになります。
このブログは敢えてテーマを絞っていないので雑然としていますが、Cubase については上部メニューの「Cubase」から結構な数の記事に辿り着くことができますので、是非チェックしてみてください。