円高傾向が続いている為替相場ですが、経済ニュースに書かれている「市場関係者」のコメントから動きを理解するのは難しいです。 そんな中、某所で薦められていた「弱い日本の強い円」を読んでみたところ、大変読みやすくとても参考になりました。 著者は人気 FXストラテジスト佐々木 融氏です。
以下、本書で指摘されているポイントについての私なりの箇条書きです。 気になることがあったら是非本書を手に取ってみてください。 もし、あなたが FX取引に手を出そうとしているならば、その前に読んでみましょう。
- 為替レートは国力で決まるわけではない。経済成長率の低下や人口減少で円安にはならない。
- ドル円相場をコントロールできるようなプレイヤーはいない。
- 為替の動きを理解するには米ドル/円だけ見ていても不十分で、クロス円の動きをとらえなければならない。
- 為替相場にとって、中期的には貿易収支が重要。長期的には主に物価上昇率の差で相場の動きが決まる。
- 製造業の海外移転が進めば貿易収支は赤字になり得るだろうが、所得収支は簡単に減らないと思われるので経常収支が赤字になることは簡単には起こらない。
- 貿易収支が黒字であれば円買い要因になる。この動きはフローなので為替レートに「織り込み済み」となることはない。
- それぞれの国によって経済構造が異なるので、同じような震災があってもその後の為替の動きは異なる。
- 景気が悪くなると円高傾向となり、良くなれば円安傾向となる。
- 日本の祝日には円高が起こりやすい。(この年末・年始もその傾向が出ていたように思えます)
- 「基軸通貨」とは決済等で用いられることが最も多い通貨のこと。 ドル安だろうが基軸通貨としての米ドルの地位は揺るいでいない。人民元が基軸通貨になるかどうかは議論する前の段階。
- 円売り介入の効果は少なく、積み上がって行く外貨準備高の問題の方が大きい。
- 日本全体の企業収益にとっては、いまや米ドル/円よりも円/ウォン相場の方が重要。