「ウイニング・アグリー (Winning UGLY) – 読めばテニスが強くなる」
日本において著者のギルバートは、プレイヤーとしてよりもコーチ、あるいはこの本の著者としての方が有名ではないかと思います。 この本はテニス技術を向上させるためのものではなく、今持っている技術を最大限に生かし自分と同等以上の技術を持つプレイヤーに勝つことを目的としています。
ただし前提としてある程度の基礎技術を持っていないと、読んでも役に立てることのできない部分が出てくると思います。 一通りのことは出来るようになったのだけれど試合はなかなか、という状況の人、具体的にはまだ若い部活プレーヤーやテニススクールの上級クラス生程度が読むと最適だと思います。 相手はすごいショットは持っている訳ではないのだけれど何故か勝てない、と感じたことがある人であれば、その「何故か勝てない」理由を知るための手がかりをこの本でつかむことが出来ると思います。
「醜く勝つ (Winning UGLY)」ということなので、書いてあることを実践するのは必ずしも「かっこよく」見えないかも知れません。 一般プレーヤーからするとここまでやるのか、という話もあると思います。 しかし、書いてあることどれもが勝利の確率を少しでも上げるためのヒントであり、何かしら参考になる部分があると思います。
発売から十年経ち既に読んでいる人も多いと思いますが、真剣にテニスの試合で勝てるようになりたいと思っていてこの本を知らない人は一読されてはいかがでしょう?
「テニスが強くなりたいあなたに贈る100の法則」
最近この本を読み終えたことがこのエントリを書くきっかけとなりました。 Winning UGLY が戦略・戦術の本であれば、こちらは主に技術を向上させるためのヒント集です。
「○○はこう打つ!」と言って型に押し付けるのではなくて、自分に最適のスタイルを見つけるためにアドバイスする形で書かれていて (特にグリップやインパクトの話) 好感が持てました。初中級から読める本になっていて上級者には物足りない面もあるかも知れません。
「インパクトでぎゅっと握る」、「膝を深く曲げて構える」、「スマッシュの時のボールを指す」等々の常識について、データや経験を基に再検証し、合理的なアドバイスを導いています。 構えから始まってストローク、サーブ、スマッシュ、ボレーと一通りのショットが網羅されており、一から打ち方を教えているわけではありませんが、「自分のグリップを探せ」みたいな話もあるのでテニスを始めて間もないうちに読んでも良いと思います。
私個人としては「スウィングスピードを上げるために上腕を止める」の部分の説明が良かったです。 テニス雑誌の記事を断片的に読んで消化不良だったところを丁寧に説明してもらってやっと理屈がわかった、という感じです。 逆にバックハンドが両手打ちのトピックのみだったので残念でした。 今更両手打ちに転向するのはちょっと…