「日本語化」と一口に言ってもいろんな対象範囲があるので一緒くたにはできません。 エンドユーザー向けの情報やユーザーインターフェイスが日本語化されるのはとても意義のあることだとは思います。
でも、オープンソースなソフトウェアの開発者情報を日本語化することに労力をかけるのであれば、そのリソースは別のところで使った方が有効だと思います。 それなりの質の翻訳をするにはその技術を理解している人が翻訳する必要がありますが、英語が出来て技術を知っている人は別のところでそのプロジェクトに貢献すべきです。
例えば、本家情報を参照するためのガイド記事や補足記事を書いたりすることは有効だと思います。 また、日本の貢献を世界へ発信することも必要です。 開発情報の和訳をするぐらいであれば、これらの活動を行う方が良いと考えています。
何故こんなことを書くのかというと、以下のような状況があるからです。
- 訳した情報が陳腐化するスピードが速くて、タイムリーに翻訳していくにはコストがかかりすぎる。
- 古い情報が混じったり一部が未翻訳だったりするとまともな開発者は英語の本家情報を参照するようになってしまう。
- 参照する人が少ない情報は質・量を向上させることができず、結局悪循環となってしまう。 ならば無駄なことはしない方がよい。
ここまではオープンソースなプロジェクトを念頭に置いて書きましたが、例えば Microsoft 製品に関しても技術者は公式英語資料を参照することが多いと思います (昔からですね)。 その状況に不満を持つ方もいるのかも知れませんが、完璧な和訳情報を企業に求めても結局は製品価格に跳ね返るだけでしょう。
オープンソースプロジェクトからの視点で考えると、企業体でも出来ていないものをでやるのだから難度が高いということなのだと思います。
何にせよ個々の技術者としては、きちんとした知識を身に着けたいのであれば本家の情報を英語で参照すべきです。 自分達より若い世代ならば英語情報が標準になるのではなかろうかと思っていたのですが、どうもそうでもないようなので今更ながらに書いてみました。
英語が苦手という方もいるでしょうが大丈夫です。言葉は慣れれば何とかなりますから。