エクステンションチューブのワーキングディスタンスについて

以前の記事で「思ったよりピントの合う距離の範囲が狭い」で済ませてしまった部分をもう少しきちんと書いてみます。

キヤノンのサイトに商品紹介のページにエクステンションチューブの取付時倍率表があります。これを見ると EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM と EF12 II の組み合わせでは 0.81~0.23倍となっています。 0.81倍というと結構な倍率のように思うわけです。

しかし、そう簡単な話ではありません。 EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM の技術レポートの表2にワーキングディスタンス込みのエクステンションチューブ装着時データがあります。 その表を見ると 0.81倍はワイド端でワーキングディスタンスが 0.4mm となっています。 レンズ保護フィルターをはずして、レンズにくっつけるぐらいのことをしないと 0.81倍は実現できないわけです。

また、この組み合わせではピントの合う有効なワーキングディスタンスがワイド端で 0.4mm ~ 8mm 、テレ端で 79mm ~ 244mm ということです。 このようにピントの合う範囲が狭いので、ズーム位置によってワーキングディスタンスがどのように変化するのかを頭に入れておかないとなかなか思い通りに行きません。実質ワイド端が使えるのは特殊な状況に限られる気がします。

というわけでエクステンションチューブを装着したレンズは、マクロレンズの使い勝手には遠く及びません。 EF25 II を使うと更に有効な範囲が狭くなるわけです。 マクロ撮影主体で行こうと思う人は素直にマクロレンズ買った方が良いでしょう。

私のように EF12 II を買って済ませる場合も手持ちのレンズにエクステンションチューブを装着した時のデータをあらかじめ知ってから買った方が良いと思います。 EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM のようにキヤノンカメラミュージアムの技術レポートにデータが載っているレンズもありますが、それ以外はサポートに問い合わせてみると良いと思います。

ちなみに EF12 II・EF25 II のマニュアルにはそれ以前に発売された EFレンズのデータが一通り載っていますが、EF50mm F1.8 II の場合は以下の通りです。

エクステンションチューブ 撮影倍率 (倍) 撮影距離 (mm) ワーキングディスタンス (mm)
EF12 II 0.39-0.24 249-324 144-227
EF25 II 0.68-0.53 207-221 87-109