Cubase ドラム譜の作成

今回は Cubase 6 のスコア機能シリーズ3回目ということでドラム譜作成 Tips についてまとめてみます。

ドラムマップの使用

ドラム譜作成にはドラムマップが必須なので、まずこれを設定します。
Drum Map

ドラムマップ設定項目の「音符を表示」、「符頭の形状」、「ボイス」がスコアに関連してきます。 「音符を表示」と「符頭の形状」で五線のどの位置のどのような音符を表示するか設定します。 「ボイス」は多声部化機能の声部の設定になります。 多声部化機能の詳細はスコア入門記事で紹介したヤマハドキュメントの Chapter 3 や製品マニュアルを参照して欲しいのですが、複数のパートを含む楽譜を正しく表示するのに必要な機能です。

下の譜例の 2小節目では多声部化機能を使用して、4分音符を声部 1、全音符を声部 2 に設定しています。
Polyphonic Voicing

GM Map のボイス欄を見るとスネアやタム類がバスドラと同じ声部に設定されていますが、これをハイハット等の金物類と同じ声部である「1」に設定し直します。 簡単に言うとバスドラは 2、それ以外は全部 1に設定するのです。

元の GM Map をそのまま修正しても他のプロジェクトに影響しませんが、気になるのであれば「新規コピー」して使うと良いでしょう。
Copy Drum Map

世の中にはピアノロール画面でドラムパートを入力している人もいると思いますが、ドラムマップを設定したからといってピアノロール画面 (キーエディター) が使えなくなるわけではありませんので、安心してください。 そんな人は「ファイル」-「環境設定」の「イベントの表示」-「MIDI」で「ドラムマップ適用時はドラムエディターで編集」をオフにしておくと良いでしょう。

データ入力時の注意点

音符表示を正しく行うには表示用クオンタイズを細かく変えて調整していく方法もありますが、エディターを使ってこれから演奏データを入力するのであれば、ひと手間かけて音符の長さを変更しながら入力するのが良いと思います。 ドラムエディターを使う場合、音符の長さの設定がデフォルトの「ドラムマップとリンク」だとドラムマップに設定されているクオンタイズ値 (GM Map では 1/16) と同じ長さになってしまいます。 これを都度変えながら入力するのです。
Note Length

下の譜例の 2小節目では、1拍めのバスドラは 1/4、それ以外は全て 1/8 の音符長で入力しています。
Note Length for Score

既にデータ入力済みの場合は「MIDI イベントの長さをクオンタイズ」を使ってデータ修正を行うという手もあります。

ドラム譜の設定

データを用意できたらスコアエディタを起動し、スコアの設定を行います。 「スコア」-「設定」で「譜表」を選び、以下を行います

  • 「オプション」の「スコアドラムマップを使用」がチェックされているのを確認する
  • 同じく「オプション」の「符尾を固定」を「アクティブ」にする
    Options
  • 「ポリフォニック」で譜表モードを「ポリフォニック」とし、声部 1、2のみオンとする (休符の設定はうまく行かないときに見直すということで)
    Polyphonic

なお、ドラム譜はへ音記号を使って書かれているものを見ることが多いですが、Cubase では Neutral Clef が使用されます。 Neutral Clef を使う方がグローバル標準なのでしょう。 これをへ音記号に簡単に変える方法は見つけられなかったので、この表示に慣れてしまいましょう。 (ドラム譜では移調表示機能が使えないようで、ト音記号は良いのですが、へ音記号を選ぶと音符が上の方に行ってしまうのです…)

連桁の表示

4拍子で 8ビートの譜面を作ることを想定します。 この場合、ハイハットは 4+4 の連桁にしたいところです。 これを行うには、「編集」-「選択」-「すべて」または Ctrl-A で全ての音符を選択し、音符のコンテキストメニューで「グループ化/グループ解除」-「自動グループ化」とします。 するとハイハットが 4+4 の連桁となります。 (「自動グループ化」なので自動でやって欲しい気もしますが)
Grouping

ちなみに拍子記号の設定で (2+1+1)/4、「グループ化のみ」とすると、8分音符で 4+2+2 という3つのグループにできます。 使うことがあるかはわかりませんが。

また、グループ化はフィルター設定で可視化することができます。 可視化して表示される「グループ化」の文字を削除することでグループ化を解除できます。

スコアエディタ上での音符入力

ドラムマップの「音符を表示」欄の設定で複数の種類のスネアに C4 を割り当てた場合、スコア上で音符を新規追加するとドラムマップのリスト内で一番「ピッチ」が低いスネアサウンドが使用されます。 ですので、GM Map を使うと C#1「Side Stick」が入力されてしまうのですが、これが嫌ならばマップを作りかえるしかなさそうです。

なお、Ctrl を押しながら音符入力することで次に「ピッチ」が低いサウンドを入力することができるので、このテクニックを使えば D1「Acoustic Snare」を入力することができます。 同様にバスドラも B0 と C1 のサウンドを切り替えて入力できます。 ちなみにドラムマップ内のリスト表示順序は設定画面でドラッグ&ドロップして変えることができます。

というわけで、Cubase のドラム譜作成についてまとめてみました。 他の楽譜と同様に、音符表示や多声部化 (polyphonic voicing) 機能への理解が必要ですが、そこがわかってしまえばさほど難しくありません。 ドラムに関してはスコア化前提であれば演奏データ 入力時から気を付けておきたいところです。