Cubaseで演奏 (MIDI) データからスコアを作る

今回は Cubase 6 で演奏データからスコアを作る手順について詳しく書いてみます。 我が家ではレコーディングした演奏から譜面に起こす場合の他、ヤマハ音楽教室に通う息子用として XG 変換したエレクトーンソングデータからパート譜を作ることもあります。 今回は一段のパート譜の作成を想定していますが、二段譜を作る時はマニュアルの「多声部化機能」(ポリフォニック) の箇所を読んでおくと良いと思います。

スコア機能の基本についてはこちらの記事を参照ください。 表示拡大率設定/ページモード/レイアウトの扱い、あたりは前提知識ということで。

スコア用データの準備

まずは楽譜作成対象のトラックをコピーすることから始めます。 譜面起こしという目的では必要に応じてデータを修正しながらスコアを作る方がやりやすいので、演奏用トラックとは別にスコア表示用トラックを用意します。 この段階でクオンタイズもかけておきます。

スコア機能に慣れてくれば、データ修正を最小限に抑えて一つのトラックを演奏にも楽譜表示にも使うことは可能になると思いますが、最初のうちはスコア表示のみを考えて作業するのが良いと思います。

音符の表示の調整

さて、スコア表示用トラックの用意が出来たらこのトラックのみを選択して、スコアエディタを起動します。 で、大抵の場合は以下のような譜面が小さく表示されるので、これを見て「スコア機能は使えなさそうだ」と使うのをそこで止めてしまった人も多いのではないでしょうか? とりあえず画面表示について言うと 200% 表示ぐらいが作業しやすいです。
Display Quantize 1

で、続いて音符の表示なのですが「表示用クオンタイズ」を設定します。 全体の設定は「スコア」-「設定」で「譜表」-「構成」を選んで設定します。 デフォルトではこれが 1/16 (「16」) になっているので、これを 1/8 (「8」) にします。 また、「シンコペーション」も「全体」にしておきます。
Display Quantize Dialog

設定をすると以下のような表示となります。
Display Quantize 2

ちなみに「シンコペーション」が「オフ」だと以下のような譜面になります。 こちらの方が好みであればそれも良いでしょう。
Display Quantize 3

先の設定は全体での設定ですが、表示用クオンタイズは曲の途中で細かく変えることになると思います。 例えばこのあと 4分音符が続いたり白玉が続いたりしていると、その部分は 1/8 ではうまく表示されない可能性が高いからです。 あるいは 16分音符が出てくることもあるでしょう。

途中で表示用クオンタイズを変えるには表示用クオンタイズツールを使って変更イベントを挿入します。 「Q」ボタンを押してカーソルを Q 表示にしてから、変更箇所をクリックします。 全体設定と同じにしたいときは「譜表の設定に戻す」を押します。
Display Quantize 4

挿入した表示クオンタイズ変更イベントはフィルターの設定を変えることで表示することができます。
Display Filter

表示用クオンタイズを調整してもうまく表示できない場合は音符の長さを変更する必要があるかも知れません。 再生用トラックとは分けているので、気兼ねなくエディットしちゃいましょう。 音符を選択してから長さの表示をダブルクリックして値を修正します。 デフォルト状態では、長さ表示は「小節.拍.16分音符.ティック」で 120ティック=16分音符です。 (16分音符が 4つで 1拍っていうのはいいですよね?)
Note Length

それと音符を選択して Ctrl (Command) + 音符長さアイコンで長さを変えることもできます。 まあ、演奏が怪しかったりする箇所は一度消して書き直すのが早いと思います。 そのあたりは柔軟に考えましょう。

調号関連

E♭が D# と表示されてしまっている場合は、その音符を選択後「異名同音変換」の「♭」を押します。 これで表示が E♭に変わります。
Enharmmonic Shift

途中で転調する場合は「調号」を挿入します。 これを最初に見た時は一瞬コード名かと思ってしまいましたが、例えば「D maj」を選べば # が二つ付きます。
Key

小節や段のレイアウト

一段の譜面にしたいのにベースパートと分割された二段譜で表示されてしまったときは、「スコア」-「設定」から「譜表」-「ポリフォニック」で「単独」譜表モードとします。

段の切れ目はのりツールと分割 (はさみ) ツールを使って変えることができます。 分割したい小節線ではさみツールを使うとそこから新しい段になります。 またその段の最後の小節線でのりツールを使うと次の段とくっつきます。

のりツールやはさみツールで編集すると各段毎に小節線の位置がバラバラになってしまいますが、そんな時は Alt (Option) キーを押しながら小節線をドラッグすると位置を揃えることができます。

改ページ位置を変えたい時は選択された段の左に表示される青い四角上でコンテキストメニュー (左クリック) を表示し、「次のページに移動」や「前のページに移動」を選びます。 「前のページに移動」は一番上の段でないと使えません。
Blue Rectangle

Alt + 青四角ドラッグで段間の間隔調整もできたりします。 まあ、細かいことを書き始めるときりがないのですが、この程度を覚えておけば演奏データを最低限の楽譜にできると思います。 ここまで出来ればマニュアルを読むのも苦にならないでしょう。 私はまだやったことがないですが、「MIDI データの抽出」機能でオーディオデータから MIDI データを取り出すこともできるので、極めれば鼻歌を素早くスコアにすることも出来るようになるかも知れませんね。