特許ファンドと特許ゴロの違い

話題にするのが遅いのですが、「家族崩壊」という見出しに引かれて東洋経済 10/25 特大号を買ってきました。 買ってから気づいたのですが、この号には「電機業界 特許大異変」というこれもまた興味を引く特集が組まれていました。

この特許関連特集には以下のような内容が含まれています。

  • 特許ファンド「インテレクチュアル・ベンチャーズ」社の紹介
  • 大手国内メーカー3社の知財担当者が語る特許ファンドに対してのスタンス
  • 多くの国内メーカーとクロスライセンス契約を進めるマイクロソフト
  • キヤノン顧問丸島儀一氏インタビュー

特許ファンドについては好意的な見方 (主に大学関係者) から否定的な見方 (主にメーカー関係者) があり、否定的な見方をする人は特許ゴロ (パテント・トロール) と本質的に同じと見ているようです。 確かに自社で実施をせず他社へのライセンス目的で特許を保有する会社の登場は、メーカーにとって特許戦略上やりにくいのでしょう。 また、「国の税金を投じ獲得した特許が自国の産業振興に寄与することなく、海外に売られてしまう」として国立大学が特許をファンドに売ることを問題視する見方には一理あるように思えます。

記事を読むと「ファンドに特許を売るメーカーもあるようだが、信じがたい行為だ」とし、またマイクロソフトからのクロスライセンス契約の申し出にも簡単にOKしないキヤノンの姿勢は際立っているように思えます。 知財戦略の最良の道は訴訟を起こすことでなく「十分な交渉と考え抜かれた契約により訴訟の芽を摘むことにある」と考える同社顧問の丸島儀一氏の言葉も興味深いです。 この記事でキヤノン&丸島儀一氏に興味を持ったときは以前のエントリでも紹介した「キヤノン特許部隊」を読むと良いと思います。

ちなみにこの号のメインである「家族崩壊」特集記事もかなり力が入っていて興味深く読むことができます。

インテレクチュアル・ベンチャーズについてオンライン記事ではダイヤモンドの新・特許ウォーズの第1部が参考になると思います。 この特集も第1部から第4部まであり、結構ボリュームがあります。