読書感想「下流喰い-消費者金融の実態」

これを読むと消費者金融業界には利用者から金を搾りとるための仕組み・手法が確立されていて、そこにはめ込まれた場合独力で抜け出すのはなかなか難しそうだというのがわかります。単純に上限金利を引き下げれば多重債務者が減るという構図ではなさそうです。ヤミ金業者に至っては自己破産者を「カネの需要がそこにあり」なおかつ「自己破産申請で “逃げられない” (=一定期間再度の破産申請が認められない)」者と見て狙っているのだそうです。言われてみると成る程と思いますが、普段付き合いがないのでこのような書籍でも読まないとなかなか業界の考え方というものがわかりません。

消費者は自衛するしかないのですが、いざお金に困っている状態になった時に目の前の現金の誘惑に抗えるかどうかというとやはり難しいということなのでしょうか。本書には止むに止まれずという例以外に、借りる目的が飲み代だったりホストクラブにつぎ込んだりというような例も出てきます。これについては自業自得という面もあるでしょうが、一回借りたのが運の尽きというような例が多数であればやはりそれは貸す側の問題が大きいのでしょう。特に若いうちは軽はずみでローンを受けてしまい、雪だるま式に多重債務に陥ってしまうという可能性は誰にでもあると思います。

もちろん消費者も賢くならなければならないわけで、消費者金融業界と聞いてテレビコマーシャルしか思い浮かばない人は必ず本書を読んだ方が良いです。「とにかくお金借りるのはまずい」とだけ考えている人もどのようにまずいのかが良くわかるので読んでみてはいかがでしょう? 本当に読む必要がある人に本書の内容が届けば良いなあ、と思いますがどうなんでしょうね…